若者による不可解な事件が起きると、ゲームやネットが大きな原因であるかのように批難するマスコミや評論家がいますが、まともな根拠を示している人を見た事がありません。
要するに、自分がゲームやネットが嫌いか、あるいはよく分からないので忌避しているだけなのです。
こんな風に、なにか注目されるような事が起きて原因探しが始まると、自分に都合の良い解釈を、それぞれが平気で垂れ流すことはよく有ります。
少子化という問題でも、同じような事が起きているように思えてなりません。
しかし少子化問題は、そんな連中の自己欲や利権の玩具にするには、余りにも重大過ぎるものです。
この国が、過去に体験したことが無いほどの深刻な問題であり、誰も確信を持てる解決方法など持っていません。
そこで取りあえず、出来るだけ主張や思惑を排して、状況と可能性、選択肢などを並べてみたいと思います。
もちろん、素人の思いつく範囲なので不足や誤解があるかもしれませんが、並列して並べることに意味があるのではと思っています。
1、少子化を受け入れるという選択肢は有るのか?
まず最初に、「少子化しても良いじゃないか。日本は許容量以上の人口になっているから、ちょうど良いサイズまで人口が減れば暮らしやすくなるし、何も困らない」という意見があります。
これが正しいならば、なにも少子化を騒ぐ必要も無いわけです。
しかし私は、この考えは夢物語だと思っています。
数字による検証は詳しい方に任せますが、すでに決まっている支払いがあり、今の労働人口と税収ですら、その支払いに青息吐息の状態です。
国の借金が突然消えて65歳以上の大半が同時に死ぬような事でも起きない限り、一定の将来に渡って払い続ける支払いは無くなりません。
つまり、ローンで目一杯の買い物をして支払いに苦しんでいる人が、給料が半分になっても良いから田舎でのんびり暮らしたいと言っているようなものです。
支払いの資金は税収ですから、生産性が飛躍的に伸びて企業が儲かり、法人税をたっぷり払えたとしても、人口減による所得税や消費に関する各税の税収は下がります。
もちろん、企業も国内の個人消費という市場が小さくなるわけですから、簡単に高い利益を出せるわけではありません。
結局、奇跡的な何かが起きない限り、少子化が進めば国の支払いがより厳しくなり、そのツケは増税という形でしか賄えません。
また、支払いの不安が出れば、借金で回していた財政も危機に陥るでしょう。
どう考えても、少子化による大きな人口減は(少なくとも数十年という短期では)受け入れられないと思います。
2、少子化の原因は?
この原因探しが今の状況を見ていると、政治的な主張や政敵攻撃、あるいは利権確保・政府批判など、好きなように利用されてばかりいるように思えます。
「子育て支援が足りないからだ」、「給料が安いからだ」、「教育費が高い」、「男女同権が進んでいなからだ」、「エロアニメが悪い」などなど、まさに言いたい放題です。
挙句の果てには、「憲法9条を変えようとするからだ」なんて人まで出て来そうな勢いです。
もちろん、子育て支援が充実したり生活が楽になった方が良いでしょう。
しかし、それは子供を生むかどうかという事とは、余り関係が有りません。
そういうと、メディアなどでは直ぐに女性の声として、「いや、その理由で生みたくないのだ」などという人が出て来ますが、少子化という社会全体の問題を個人の言葉で判断することは出来ません。
それを判断する材料は、出生率の推移などの全体的なデータです。
マスコミや政治家は、そうした客観的な分析を余り紹介せず、思惑を隠した誘導を繰り返しています。
しかし、たとえば内閣府が横浜国大の協力を得て行った調査では、70年代以後の出生率の低下は、主に未婚率の上昇と晩婚化によるものと結論付けられています。
また、女性の就業と賃金上昇による機会費用の増大が、出生率を押し下げる方向に作用するとも指摘しています。
・日本の出生率低下の要因分析
http://www.esri.go.jp/jp/archive/e_dis/e_dis100/e_dis094.html
それらは、先進国に共通した問題のようです。
つまり、「貧乏人の子沢山」から「金持ちの少子化」に変わって行ったということではないでしょうか。
農業などの第一次産業で人手が必要な時代は多産でしたし、また医療や社会保障が未熟だった時代も、生き残る確率アップと親の老後保障も兼ねて多産だったのでしょう。
社会が発展し整備されるにつれ、そうした意味での多産の必要性が無くなり、さらには結婚すらしなくても社会的には問題無く暮らせる事が未婚率を上げたのではないでしょうか。
結局、生物的・社会的必要性が低下したことが少子化の最大理由だと思います。
結婚すれば、生物的な欲求で最低限一人程度は生みますが、その後は必要性が薄いというのが現状でしょう。
では、少子化対策の為の公的支出など、意味が無いのでしょうか?
少子化対策の為の公的支出が出生率向上に役立つのかという視点で、各国の統計を並べたサイトがあります。
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/1582.html
それによると、オーストラリアと日本は、少子化対策の為の公的支出と出生率向上に、何の相関関係も無いのがはっきりと判ります。
またサイトが相関関係があるとしているフランスやノルウェイにしても、そのようには見えません。
ただ、スウェーデンやデンマークでは、確かに相関関係がありそうです。
しかし、北欧にしろヨーロッパにしろ、移民という要素を一切考えないで結論を出す事は出来ません。
実際、スウェーデンやデンマークは、ここ三十年ほどの移民の増加が大きな問題になっている国です。
・移民女性の抱える現実とその多様性 -多国籍国家スウェーデン
http://www.realiser.org/report/lifestyle/article/index.php?id=170
・デンマーク:「移民の罠」にはまりかけるその先
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20080804/167104/?P=2
結局、少子化対策の為の公的支出が、出生率向上に役立つのかどうか(それもどの程度)という事は、移民などの要素を含んで分析されたデータが無いようです。
つまり、少子化対策の為の公的支出が役立つかどうかは、よく判らないという状況だと思います。
※長くなりましたので、次に続けます。


by unimaro
医療・信長党